3Dプリンターで印刷。サポート除去が簡単にできる方法。

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e.watanabe

    3Dプリンタで造形すると造形後の仕上げが意外と大変!なんて声を耳にします。3Dプリンタで造形するには、空中になる部分にサポート材がついてしまうので、造形できる形状かどうか見極めたり、分割したり、仕上げ作業にはサポート材の除去と手間と時間がかかっていました。そんなサポート材を簡単に取り除く事ができる方法を試してみたいと思います。

    サポート材必須の形状!ハンディ白糸巻を印刷する。

    シンワ測定株式会社 様の製品、墨付け・基準出しツールの「ハンディ白糸巻 Ⅱ 自動巻 パープリッシュレッド」を印刷してみます。

    これは、工具の一種で、材木に直線を引いたり、建築現場で基準墨となる地墨や腰墨を引くために使われる道具です。本体の中は、糸を巻き付けるため空洞になっています。本体サイズ 110×69×31mmで、材質は主にABS樹脂を使用しています。


    データをご提供いただきましたのは、モノづくりの町、新潟県燕市のシンワ測定株式会社様です。金属製曲尺、金属製直尺、特殊計測機器、墨つぼ、など高精度で使いやすい計測機器のトップメーカーで、直尺・曲尺は全国ナンバーワンの圧倒的シェアの企業様です。

    そもそもサポート材が必要な形状とは?

    3Dプリンターで造形する時は、中空になっている部分は支えがないため造形ができません。(例:下図赤くなっている箇所)下から積み上げて造形するFDM方式の3Dプリンターでは、必ずサポートが必要です。

    例)赤くなっている空中の部分は、造形不可

    きれいに造形するためには、できるだけサポートと本体の隙間を狭くする方法もあります。ただ、隙間を狭くするとサポート材を除去しにくくなるデメリットがあります。

    一般的なフィラメントのPLAで印刷してみました。シングルヘッドの3Dプリンターなので、サポート部分も同じ材料で印刷されています。細かいところまでサポート材が入りますので、仕上げ作業に手間がかかります。この苦労をなくすため、簡単にサポートが除去できるように印刷してみました。

    簡単サポート除去方法その1 水に溶かして除去する。

    簡単にサポート除去する方法として、サポート材を水で溶かす方法があります。水で溶かすには2種類の材料を使用して造形できる、デュアルヘッドプリンタを使用します。今回は、スーパーエンプラも印刷できる「FUNMAT PRO 410」で実証してみます。

    左には本体の材料、右にはサポート材の材料をセットして造形します。専用のスライサーソフトで、簡単に印刷の設定が可能です。

    印刷する「ハンディ白糸巻」の本体のほとんどは、ABS樹脂が使用されていますので、試作品もABSで印刷してみようと思います。材料は、3Dプリンター用のABS樹脂のBASF(バスフ)社製のABS樹脂「Ultrafuse(ウルトラヒューズ) ABS Fusion+」と専用のサポート材「Ultrafuse(ウルトラヒューズ)BVOH」を選んでみました。

    左「Ultrafuse(ウルトラヒューズ) ABS Fusion+」750g/右「Ultrafuse(ウルトラヒューズ)BVOH」350g

    BASF社製のABS「Ultrafuse(ウルトラヒューズ) ABS Fusion+」とは?

    このBASF社製のABS「Ultrafuse(ウルトラヒューズ) ABS Fusion+」は、従来のABSより造形中の反りが少なく、造形テーブルから剥がれにくい特徴ををもっています。色はブラック、グレー、ナチュラルが用意されています。

    デュアルヘッドプリンター「FUNMAT PRO 410」で造形完成

    水溶性サポート材「Ultrafuse(ウルトラヒューズ)BVOH」とは?

    水溶性サポート材「Ultrafuse(ウルトラヒューズ)BVOH」は、「Ultrafuse(ウルトラヒューズ) ABS Fusion+」の専用のサポート材です。水に簡単に溶け、水温が高くなるにつれて溶解度は増加します。 湿気に弱いので、このフィラメントは密閉袋またはPolyBoxに保管すると良いです。

    水溶性サポート材「Ultrafuse(ウルトラヒューズ)BVOH」を使用

    ぬるま湯でサポート材除去。

    お風呂の湯加減程度の40℃ぐらいのお湯につけてみました。水でも溶けますが、ぬるま湯につけた方がはやく溶けるようです。みるみる水が濁っていきます。途中ドロッとしたお湯になってきましたので、30分後に1度お湯を交換。約1時間ほどで外側の大きなサポート材は溶けてしまいました。

    そのまま一晩置いてみると、朝には細かい部分のサポート材もすっかりきれいに溶けていました。

    一晩そのままおきました
    内部もすっかりサポート材が取れています。

    今回は、溶けるのを待っていましたが、柔らかくなったら手で大まかにほぐした方が早く溶けるようです。

    簡単にサポート除去で完成!

    左 サポート除去後   右 サポート除去前

    カッターや、ニッパーで手間をかけなくても、水(お湯)に浸けておくだけで簡単に除去できました。これは本当に便利です。また、サポート材と本体の接点もきれいに造形されています。ある程度複雑な形状もこれがあれば、印刷可能ですね。

    簡単サポート除去方法その2 手でも簡単にサポート材を除去する。

    PolyMaker社「PolySupport」

    こちらは、手でも簡単に取り外せるサポート材、PolyMaker社「PolySupport」です。

    外側は、手で簡単にポロポロと取れてきます。サポートと本体の接地面もとてもきれいです。ただサポート材は思ったりより堅いので、奥まった部分の除去には手こずりました。手の入りづらい部分は、水溶性サポート材を使うと簡単ですね。

    左:PolyMaker社本体「PolyLite PLA」サポート材「PolySupport」  右:一般的なPLAのみ

    写真の左は、デュアルヘッドプリンターを使用して、PolyMaker社本体「PolyLite PLA」サポート材「PolySupport」を、写真の右はシングルヘッドプリンターで、一般的なPLAを使用しました。サポート材を使用した方が、除去しやすい事で余計な傷もつかずきれいに仕上がりました。

    PolyMaker社のPLA等に使用できる水溶性サポート材のご紹介。

    PolyMaker社の水溶性サポート「PolyDissolve S1」は、Polymaker社のPLA、TPU、PVBとナイロン素材に使用できます。水に溶け綺麗に分離できます。こちらは、ABSや、PCに使用できないのでご注意ください。

    PolyMaker社「PolyDissolve S1」

    サポート材にもいろいろありますが、各メーカー、サポート材の種類により使用できる材料が違います。また、水ではなく溶剤が必要になるサポート材もあります。必要に応じて適切なサポート材を選びましょう。

    水溶性サポート材を使用できるデュアルヘッドプリンターはこれ!「FUNMAT PRO 410」

    水溶性サポート材を使用するには、2種類の材料で造形する事が必要です。左のノズルでは、本体の材料を、右のノズルにはサポート材を使用するためです。

    このデュアルヘッドプリンター「FUNMAT PRO 410」は、高い耐熱性を誇るスーパーエンプラの造形が可能で、最高500℃まで対応の水冷式ノズルを2個搭載しています。とても安定した造形が可能なので、お勧めのプリンターです。

    詳細はこちら↓をご覧くださいね。

    FUNMAT HT / PRO / PRO 410 – スーパーエンプラが使える産業用FDM 3Dプリンタ

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    弊社では3Dプリンター全般のサービスを行っております。BASF社製のABSや、水溶性サポート材、「Polymaker社」のフィラメント等も販売しております。3D造形にご興味のある方、また3Dプリンターのご購入を検討されていらっしゃる方など、皆様のご相談を承っております。実機の見学もできますのでお気軽に問い合わせください。