3Dプリンターでロストワックス鋳造の原型を出力し金属の試作製品を作ってみました。
ロストワックス鋳造(ロストワックスちゅうぞう)とは、ワックス(ロウ)を利用した、鋳造方法の1つで、複雑な形状や精密さを求める製品の製作に向いています。通常は金型で製作した型にワックス(ロウ)を流しいれ固めて原型を作成します。
今回は、3Dプリンターで原型を出力して鋳造の原型を作ってみました。
ご協力いただきました企業様は、新潟県三条市のステンレス製品総合メーカーの浅野金属工業株式会社様です。
金属鋳造に最適なフィラメントPolymaker社「PolyCast」でコストダウン。
ロストワックス鋳造の原型を3Dプリンターで出力する場合には、Polymaker社「PolyCast」を使用します。金型を作成するよりもコストが安く、リードタイムも短くなります。
金属鋳造に適したフィラメントPolymaker社「PolyCast」は、鋳造に使用されるロストワックスと同じように、残留物を残さず、高品質な鋳造原型(ワックス)を造形することができます。
3Dプリンターで原型を出力するからリードタイムが短縮。
スーパーエンプラが使える産業用3Dプリンター 「FUNMATシリーズ」で出力しました。
原型の3Dデータをスライスソフト「INTAMSUITE」で読み込み出力します。今回の形状は、9時間ほどで造形できます。造形品が完成したら、サポート材を取り除き仕上げをします。
FDM方式3Dプリンターでは、中空になる部分に必ずサポートが付きます。今回はデュアルヘッドの3Dプリンター「FUNMAT PRO 410」を使用して出力いたしましたので、水溶性サポート材「PolyDissolve S1」を使用しています。造形物と綺麗に分離でき、手の届かない細かいサポート材は水で溶かす事ができます。
ここで注意しなければならないのが、造形品そのままの型になってしまうという事です。余計な凹凸も取り除きいかに綺麗に仕上げるかがポイントとなります。リューターや、やすりを使用して整えます。
表面加工機「PolySher」で表面を滑らかに仕上げます。
FDM方式3Dプリンターの特徴である積層跡を軽減するために、表面加工機「PolySher」を使用します。
機体下部に充填したイソプロピルアルコールを、噴霧器から放出します。ミクロン単位の細かなアルコールの液滴が造形物表面を覆い滑らかに仕上げます。
表面加工機「PolySher」は、フィラメント「PolyCast」「PolySmooth (PVB)」で出力された造形品に使用できます。
積層跡を滑らかにしたら原型の完成です。
3Dプリンターで完成した原型で試作製品を作成してもらいました。
金属の試作製品はこんな風な手順で行っていくそうです。
1.3Dプリンターで出力した原型の周りを数回コーティングを繰り返し、厚みを持たせた鋳型を作ります。
2.焼成炉に入れて型を固めます。この時の高熱で3Dプリンターで出力した原型が消失します。
3.完成した鋳型の空洞に、溶かし金属を流し込みます。
4.金属が固まったら鋳型を壊して製品を取り出し完成です。
試作製品の完成です。
金属製品の試作ができあがりました。3Dプリンターで出力し仕上げをした状態のまま製品が完成されます。金型を作る前に行う試作製品を作成するまでのリードタイム短縮や、コスト削減におおいに活用できそうですね。
製品化された「オートシャックルⅢ型」との比較画像
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3Dプリンター取扱機種の一例
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- FDM方式「BambuLab」 「Creality」「AMESOS」シリーズ
- 光造形 (LFS)「Form 3」シリーズ
- 光造形(MSLA マスク式光造形)「Form 4」
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