3Dプリンターのサポート材って何?どんな種類があるの?

3Dプリンターのサポート材って何?どんな種類があるの?

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e.watanabe

    3Dプリンターのサポート材って、簡単にサポート除去ができて便利!とよく聞きますが、そもそもサポート材とは何でしょうか?種類もたくさんあるようですが、どのように使い分けをすればよいのでしょうか。

    3Dプリンターのサポート材とは?

    下から積み上げて造形していくFDM方式の3Dプリンターでは、いきなり空中になっている部分は支えがないとダレてしまい造形ができません。

    そのため、造形中に造形物を支えるために土台や足場も同時に造形する必要があります。この土台や足場にあたるものがサポート材です。

    Intamsys社のスライサーソフト「IntamSuite」で下から見た図↑で確認すると、赤く浮いている部分が空中になっています。ここが、空中にならないように足場を組む必要があるので、下からサポートを積み上げていきます。下図の水色の部分がサポートです。このサポートがあるからこそ形状通りに造形できるようになります。

    水色の部分がサポート材

    通常の3Dプリンターでは、材料が1種類しか使用できませんので、同じ材料でサポートを造形します。同じ材料ですので造形面とサポート面の貼りつきが強く、サポート部分を除去するのは手間がかかりとても大変なのです。

    しかし、デュアルヘッドプリンターなら材料とサポート材を2種類同時に造形できます。弊社では、MAX500℃までノズルを加温できる産業用3Dプリンター「FUNMAT PRO 410」でサポート材を使用しています。造形手順もわかりやすく、仕上がりもとてもきれいです。

    また、2021年8月末に発売予定の「FUNMAT PRO 610 HT」なら、FUNMATシリーズ最大のプリントエリア(610×508×508mm)をもっているので、大きな造形にもサポート材が活用できます。

    サポートが必要な形状

    Flex素材でも水溶性サポート材を使用して造形できました。

    このような入り組んだ形状の場合は、サポートなしでは造形は不可能です。サポートを付けたとしても手で除去するのはとても困難です。

    黄色がサポート材 奥までビッシリついています。

    こんな時にとても便利なのが水溶性サポート材です。いらない部分は水に浸けておくと簡単に溶けてしまうのです。複雑な形状には欠かせないですね。

    サポート材にも、水で溶けるサポート材や手で簡単に取れるサポート材、溶剤で柔らかくなるサポート材などいろいろな種類があります。

    水で溶けるサポート材

    1.PLA,TPU,PVBとナイロン素材に「PolyDissolve S1」

    Polymaker社の「PolyDissolve S1」は、水溶性で水に溶ける材料です。入り組んだ形状や手の届かない所のサポート除去にお勧めです。

    Polymaker社「PolyDissolve S1」750g

    2.BASF Ultrafuse ABS専用「BASF Ultrafuse BVOH」

    ABSの材料の中でも反りにくいBASF Ultrafuse ABS Fusion +に使用可能な水溶性サポート材です。水温が高いほど溶解速度は高くなります。

    左「Ultrafuse(ウルトラヒューズ) ABS Fusion+」750g/右「Ultrafuse(ウルトラヒューズ)BVOH」350g

    手でバリバリはがせるサポート材

    1.PLA素材に「PolySupport」

    Polymaker社の「PolySupport」は手で簡単にはがす事ができます。造形するために支える力はとても強く、サポート材が接していた部分も綺麗な表面を保つことができます。

    Polymaker社「PolySupport」750g

    2.ABS,PCに使用できるサポート材:「Hips」

    キャノンエコロジーインダストリー製の「Hips」は、廃棄コピー機からリサイクルされたフィラメントです。ABS,PCと材質が違うので、貼りつきが少なく手で簡単に除去する事ができます。

    キャノンエコロジーインダストリー製「Hips」750g

    溶液で柔らかくなるサポート材

    1.PEEKに使用できるサポート材:「SP5000」

    Intamsys社の 「SP5000」は、PEEK、PEEK-CFに使用可能です。
    溶剤(ファインソルブSB)に入れて柔らかくなり簡単に除去できます。

    スーパーエンプラに使用できる初のサポート材です。

    スーパーエンプラで使用できるサポート材 Intamsys社「SP5000」500g

    また、スーパーエンプラのPEI、PPSUに使用できるサポート材は、2021年9月頃発売予定です。PEI、PPSUをきれいに造形するには、2021年8月末発売の「FUNMAT PRO 610 HT」がおすすめです。

    材料ごと、使用可能なサポート材一覧

    材料使用可能サポート材
    PLAPolySupport
    PolyDissolve S1
    PETGPolyDissolve S1
    ABSHips
    PCHips
    ナイロン・PA6-CF・PA6-GF・PA12-CFPolyDissolve S1
    PolySmooth(PVB)・PolyCastPolyDissolve S1
    BASF Ultrafuse ABS Fusion +BASF Ultrafuse BVOH
    PC+ABS(キヤノンエコロジー)Hips
    PEEK・PEEK-CFIntamsys SP5000

    3Dプリンターにとってサポート材は造形を安定させ、きれいに仕上げたい時に大変便利です。

    デュアルヘッド(2ヘッド搭載)の3Dプリンターでは、専用のサポート材を使用することで安定した造形が可能になります。また、今まで手間のかかっていたサポート除去作業もとても簡単になります。サポート材を上手に使いこなしてより便利に活用していきたいですね。

    お問い合わせはこちらから

    弊社では3Dプリンター全般のサービスを行っております。BASF社製のABSや、水溶性サポート材、「Polymaker社」のフィラメント等も販売しております。

    産業用3Dプリンター「FUNMAT PRO 410」をはじめ、各種3Dプリンターの実機の見学してみたい方、3D造形にご興味のある方、ご購入を検討されていらっしゃる方など、皆様のご相談を承っております。

    FUNMATシリーズ最大のプリントエリアをもつ「FUNMAT PRO 610 HT」の最新情報をお知りになりたい方もお気軽にご連絡ください。