スーパーエンプラ用サポート材「SP5000」使用実感レポート 噂のサポート材は本当に使えるのか?【動画のご紹介】
「PEEK」などに使用可能なスーパーエンプラ用サポート材「SP5000」がまもなく発売になります。産業用3Dプリンター「FUNMAT PRO 410」最大の特徴である2ヘッドの利点を生かし、スーパーエンプラ用サポート材「SP5000」の使用実感レポートをご紹介いたします。
スーパーエンプラ用サポート材を「SP5000」を検証!
4月6日(火)に FUNMATの国内代理店である、フュージョンテクノロジーが、ウェビナーを開催いたしました。テーマは、スーパーエンプラ用サポート材「SP5000」の使用実感レポートです。
産業用3Dプリンター「FUNMAT PRO 410」は、MAX500℃まで加温できる「ノズルヘッド」の開発により、スーパーエンプラの印刷が安定して出力できるようになりました。 更には「PEEK用サポート材」の登場により、新しい3Dプリントの活用が期待できます。
また、今冬発売予定の「超大型」産業用2ヘッド3Dプリンター 「FUNMAT PRO 610 HT」の最新情報などもお伝えいたします。
45分程度の動画です。お時間のある時にぜひご覧ください。
スーパーエンプラ用サポート材「SP5000」について
「SP5000」は、主にPEEK、PEEK-CFのサポート材として使用可能です。この素材は印刷時には剛性を維持して印刷物本体を強固に支えます。また「酢酸エチル」に一定時間浸すと、簡単に分解できるほどに柔らかくなり(溶けません)サポート部分が簡単に除去できます。
推薦印刷温度:260~320℃
ビルドプレート温度:90~160℃
チャンバー温度:90℃
「酢酸エチル」とは?
別名「エチルアセテート」と呼ばれる、炭化水素系エステルに分類される有機物でパイナップルに似た臭いを放ちます。常温で無色透明液体です。
しかし酢酸エチルは、非常に取り扱いが難しい溶剤です。いろいろな法規をしっかりと管理しないと扱えない溶剤で、有機溶剤中毒予防規則(第2種有機溶剤)、毒物及び劇物取締法(医薬外劇物)消防法(第1石油類)などの管理のもと扱わなければなりません。
酢酸エチルを扱うとなると管理が大変なのですが、それより簡単に扱えるファインソルブSBをご紹介します。
ファインソルブSBは、第1~3種有機溶剤を含有せず、中性なので毒性が低く安全性の高い溶剤です。圧倒的に扱いやすく、一斗缶で1万円前後で購入する事も可能です。
重要!印刷する前に必ず材料を乾燥させましょう。
PEEK、PEEK-CF、PEI、PPSIなどのスーパーエンプラ系や、PEEKのサポート材「SP5000」は、湿気に非常に弱い材料です。乾燥を怠ると、印刷不良や糸引きの原因になりますので、恒温槽などで乾燥させてから印刷を始めましょう。
PEEK:150℃で5時間
SP5000:100℃で12時間
実際に造形してみました。
①小さい造形物
サポート本体に「PEEK」、土台、境界面だけを「SP5000」に設定しています。印刷時間も短く、フィラメントのゴミが本体に付着しにくいようです。
サポート全体を「SP5000」にすると、同じ積層部分で「PEEK」「SP5000」の2種類のノズルを使う事により、フィラメントゴミも出やすく、ノズル変更時間もかかるため印刷時間が予定より長くなるデメリットがあります。
②大きい造形物
大きい造形物は形状によっては、サポート材がはがれてしまう事があります。
デュアルヘッド3Dプリンター「FUNMAT PRO 410」では、チャンバー温度が安定し易く大型のPEEK造形も可能ですが、大きい造形物や、充填を詰めた場合などに、PEEKの収縮歪みが出てしまう事もあります。これが原因で、「SP5000」の付着面が若干外れてしまう事もあります。
この現象は、今後の検証でスライサー設定により改善が見込めるようです。
③複雑な造形物
複雑な配管が絡みあう形状をチャレンジしてみました。こちらの形状は配管の中はサポート材に手が入らずとれないため、サポートすべてを「SP5000」で、造形しています。
スライサーソフト「IntamSuite」で、簡単に材料の切替ができます。また、サポートの量も調節したり、ピンポイントで、サポート材を付けない設定「サポートブロッカー」機能も付いていて大変便利です。
動画では、ファインソルブSBを使用して、実際に1日浸し、崩れている様子を見る事ができます。
「SP5000」使用感 まとめ
・使用感は概ね良好。
・お勧めの使い方は、「本体とサポート間」の境界のみに使用して、剥離し易い状態を作る設定が非常に良い。
・サポート以外に、ラフトなどの「土台」に使うと後加工が楽。
・酢酸エチルより安全な「ファインソルブSB」を使用して、サポート材をもろくして除去する方法はとても便利。
次世代機「FUNMAT PRO 610」のご紹介
産業用3Dプリンター「FUNMAT PRO 410」も扱いやすくご好評をいただいておりますが、さらに工業的な大型のモデル産業用2ヘッド3Dプリンター 「FUNMAT PRO 610」が登場します。
特徴はなんといってもチャンバー温度がMAX300℃まで上がる事です。大型のスーパーエンプラを造形するために必要な温度なのです。
・ノズル2ヘッド:MAX500℃
・チャンバー:MAX300℃
・テーブル温度:MAX300℃
・プリントエリア:508×508×610mm
重さ1トンにもなる、大型のモデル産業用2ヘッド3Dプリンター 「FUNMAT PRO 610」のサイズ感をぜひ動画でご確認ください。実物は、2021年冬ぐらいにはお目見えするでしょうか。
次世代機「FUNMAT PRO 610」の詳細はこちらから
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弊社では3Dプリンター全般のサービスを行っております。スーパーエンプラの造形にご興味のある方、また、デュアルヘッド3Dプリンター「FUNMAT PRO 410」のご購入を検討されていらっしゃる方など、皆様のご相談を承っております。お気軽に問い合わせください。